未分類

雨の日の夢の国

先日、私は夢と魔法の国を訪れた。だが、夢も魔法も、天候の前では無力である。天気予報は「大雨」と告げていた。そして予報士の言葉どおり、空は灰色に沈み、雨粒は執拗に我々に攻撃を加え続けた。

舞浜駅からホテルに荷物を置き、まずは「陸」へ向かう。傘とレインコートという二重の防御を整えていたが、それも虚しく、雨は靴の隙間からじわじわと侵入してきた。靴下がぐしょりと濡れるあの感覚ほど、人の気分を萎えさせるものはない。気持ち悪さが足先から脳天にまで達し、私の「夢と魔法」は早くも色褪せてしまった。

昼食は早めにとった。ハンバーガーとポテト、ナゲットにオレンジジュースという、不本意極まりないジャンクフードを頬張りながら、周囲ではカモやハトが客の落としたパンくずをついばんでいた。彼らの姿が、どこか私自身の姿に重なって見えた。

アトラクションの記憶は不思議なほど薄い。おそらく雨のせいだろう。強烈に覚えているのは、びしょ濡れの靴の重みと不快感だけだった。

その日の救いはホテルの夕食にあった。ビーフカレー。とろける肉と深いコク。スプーンを口に運ぶたび、昼食への恨みが浄化されていくようで、心底「美味だ」と唸った。それゆえ少々食べ過ぎた。

翌日は「海」へ。だが私はもう二度とあの濡れた靴を履きたくなかった。そこでホテル内でサンダルを買い、その軽やかさに小さな自由を感じた。足取りは昨日よりも軽く、アトラクションもいくらか楽しめた。ランドよりも、こちらの方が私には合っているらしい。

しかし一つだけ、どうしても馴染めないものがあった。ぬいぐるみのような見た目をしたエイリアンのショーである。観客に話しかけ、笑わせ、巻き込もうとするあの仕組み。私はただひたすらに「当てられませんように」と心の中で祈り続けた。冷や汗と共に祈りは届き、幸運にもあの地球外生命体の漆黒の目は私を素通りした。

こうして二日間の旅は終わった。夢の国は確かに夢を見せてくれる。だが今回の私の夢には、雨と濡れた靴下と、思いがけぬジャンクフードの味も、しっかりと含まれているのであった。